手塚治虫「戦争漫画」傑作選Ⅱ

手塚治虫「戦争漫画」傑作選〈2〉 (祥伝社新書)

手塚治虫「戦争漫画」傑作選〈2〉 (祥伝社新書)



新書ですが、漫画です。



手塚治虫の漫画は凄い。

いま読んでも十分楽しめます。



手塚は子供の頃に戦争を体験したようですが

そのせいもあってか、子供などの弱者に注目して描かれています。



考えさせられるテーマを持った作品ばかりでした。



戦争が遠い記憶となり、

ゲームの題材にもなってしまう今日の現実に疑問を感じました。



たまたま手に入ったのが二巻だったのですが

一巻もいずれ読んでみたいと思います。

世にも美しい日本語入門 安野光雅/藤原正彦

世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書)

世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書)



この本を読んで

日本語というのはすごいんだなぁ

ということを実感しました。



この人たちは画家と数学者ですが

漢詩や和歌など、ほんとによく知っています。

今の若い世代とは教養の幅が違うと思いました。



小・中・高の国語教育って何だったのかよくわかりませんよね。

他の科目と違って、ステップアップしていく感が薄いというか。

この本によると国語は日本語を教えるんじゃなくて

情緒教育だそうな。

国語ってネーミングが微妙なんだな、きっと。



ところで、

「春の小川」という歌がありますが、



♪春の〜

♪小川は〜

♪さらさら〜



♪流る〜



だったらしいです。本当は。

確かに、



♪いくよ〜



だと何か日本語変ですよね、言われてみれば。

妙に納得しました。

大人の写真。子供の写真。 新倉万造×中田燦

大人の写真。子供の写真。 (エイ文庫)

大人の写真。子供の写真。 (エイ文庫)



写真集。



写真家・新倉万造は、あるとき、

子供の時には見えていた何かを自分は忘れてしまったのでは…

という疑問を抱いた。



そこで、親友とともに写真を撮りに出かけることにする。



親友は、中田燦 6歳。



大人と子供で同じものを撮ったらどうなるか

という実験です。





企画はとても良いし、面白い対比もいくつかあるんだけど

結局、アイレベルの違いだけではないだろうかという気がした。



大人はこう撮る。

子供はこう撮る。



というテンポで進んでいくのだが、

それは大人と子供の違い、というよりは

プロと素人の違いではないだろうか。



一緒に旅をした新倉さんだからこそ感じられた

「子供らしい眼」というのがあったのだと思うが

写真だけではなかなか伝わってこない。



ということで

文章をつけてこの本はデザインされたのだと思うが

それが逆に「こういう写真です」という

押し付けがましさを感じさせるような気がします。



この子は何が撮りたかったんだろう…

と想像する時間をくれるともっと良かったんじゃないかな。





ごちゃごちゃ言いましたが

楽しそうな感じが伝わってくる本なのでわりと好きです。

海ちゃん−ある猫の物語 岩合光昭・日出子

海ちゃん―ある猫の物語 (新潮文庫)

海ちゃん―ある猫の物語 (新潮文庫)



海ちゃんという猫の写真集です。

岩合光昭はカメラマン。



写真をじっと見ていると

猫も人間と同じように

いろんなことを考えたり、感じているように見えてきます。



それにしてもこの猫は口元がモフッとしていてかわいい。



猫目線の低めのアングルが多いのですが

これを撮ったカメラマンは大変だったでしょうね。

のほほんとした写真が多いけど

その背後でのカメラマンの苦闘が想像されました。

時をかける少女 筒井康隆

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)



映画になったアニメ版「時をかける少女」は

テレビでやっていたのをちょろっと見たことがあったので

結末がわかっていたのがちょっと残念でした。

それでもまぁ楽しめます。



映画よりだいぶ短い話だということがわかりました。

映画の方が不思議な世界観を表現できているように思います。



他にも二編、短い話が入っていますが、

中学生向けなのか、筒井康隆的毒がなかったので

ちょっと物足りない気がしました。

九月の四分の一 大崎善生

九月の四分の一 (新潮文庫)

九月の四分の一 (新潮文庫)



とても面白かった。

大崎善生の作品ははじめてでしたが

他のも読んでみようという気になりました。



この本には四つの小説が入っているのですが、どの話も面白い。



最初の「報われざるエリシオのために」での

箱根登山鉄道スイッチバックの描写に

ぐぐぐっと惹きつけられました。

その他の作品も表現が良くて、とても魅力的です。



オススメです。



今回は文庫本で読みましたが

大崎善生さんの単行本は、表紙デザインがキレイなので

今度読むときは単行本にしてみようかと思います。

パン屋再襲撃 村上春樹

パン屋再襲撃 (文春文庫)

パン屋再襲撃 (文春文庫)



村上春樹の短編集。



どれも面白いけど

象の消滅』という話が特に面白かった。

「覗き」という要素はスプートニクの恋人に繋がるように思います。